2015 聴いたもの
昨年のように、この1年間で聴いた音楽の中から、好きなもの、何度も聴いたもの、印象的だったものを選んでみることにした。一応今年は上半期の区切りで一度書いたので、今回は下半期に聴いた音楽の中から。
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上半期の時に16作品選んでいたので、今回もそれに倣って16作品。いつものように順位は無し。今回はざっくりとしたカテゴリー分けをして書いていく形にした。
まずは海外のものから2作品。
Funeral Advantage - Body Is Dead
一切捨て曲のない名盤。購入してからしばらくずっとリピートしていた。特に最後の曲、アルバムタイトルにもなっている『Body Is Dead』が10分を超える大作で、まさに終わりを締めくくるにふさわしい一曲。聴き始めから聴き終わりまで全く飽きることなく、高揚感を抱き続けたまま聴くことのできるアルバムだった。
Meishi Smile - ...Belong
前作『LUST』を聴いたことで自身の価値観が一気に変わって、それ以降注目し続けているMeishi Smileの待望の2nd。前作のイメージはやはり「インターネット」的な感覚が強くて、特にそうしたインターネット上で精力的に活動する音楽家たちの存在をあまり知らなかったその頃の自分にとっては、とてつもなく強烈で新鮮なものに映った。
そして今作。ジャケットのイメージからも今までの世界観とは全く異なることが分かる。前作はイラスト、今作は人物。こうしたことからもMeishi Smileの世界は二次元から三次元へ、インターネットの外側へと飛び出して、より現実的なところを目指しているのかもしれない、なんて思ったりしてしまう。
まだ今作がリリースされてからそう時間が経っているわけではないが、次に彼が見せてくれる新たな音の世界を、既に心待ちにしている。
以下は全て国内のもの。
純粋に、音にやられてしまった2作品。
Ropes - dialogue
このアルバムが発売される情報を目にしてからずっと楽しみにしていて、発売されてすぐに手に入れた。そして聴いてみた時の感想は、どうやら期待しすぎていたのかも…なんてネガティブなものだった。しかしいざ時間をおいて改めて聴き返してみると、やはりこの二人が奏でる音楽は期待とかそんなこと抜きに、自然に体の中に染みこんでいくし、良いとか悪いとかそうした単純な事柄では括れない音楽だ…なんてことを思った。人によってはきっと、こんな風に語ることが大袈裟だと思うかもしれないけれど、少なくとも自分にとっては、アチコさんの歌声と戸高さんのギター、この二つがあればもうそれだけで充分だということを、本当に、改めて思い知らされた一枚。
服部峻 - MOON
下半期に聴いた音源の中で最も衝撃的だった一枚。上半期は冷牟田敬さんの『noise myself』にぶっ飛ばされたけれど、このアルバムもその時と近い感覚。
民族音楽、電子音楽、ジャズ等々様々な要素が混ざりあった、独特かつ唯一の音。今作は「信仰」がテーマらしいが、個人的には「人の一生」を感じる一枚だった。というのも、初めは力強いドラムの音が前面に出ていたり、躍動感のある曲が多い印象で、曲が進むにつれてより精神世界へと迫るような、ゆっくりとした曲調のものが続くことから、まるで人生の流れを体感しているような錯覚に陥ったため。生まれてきて少年から青年へ、そして壮年からそれ以降の死へと向かう一連の人生の流れ。そうした壮大なストーリーがこの一枚の中に凝縮されているように感じた。
気軽には聴けないけれど、ふとした瞬間に再生してピンと背筋を伸ばしたくなるような緊張感に満ちた一枚。
上半期の時にアニメ・声優関連の作品を挙げていたので今回も。ということで、あまり数は聴いていないながらもその中で印象的だった2作品。
南條愛乃 - 東京 1/3650
南條さんというとfripSideのボーカルとして世界的に有名ではあると思うが、個人的にはfripSideの音楽性はそこまで好みではなかったりして、南條さん名義のアルバムをずっと聴きたいと思っていた。今作はミニアルバムやシングルのリリースを重ねて、ようやく発売されたアルバム。タイトルにある「1/3650」は、声優として活動してきたこの10年間の想いが込められているらしく、それだけで泣けてきてしまう。彼女自身が作詞をした曲が多く収録されているが、飾らない等身大の言葉に満ちていて、それもまた聴いていて涙腺が緩む…。
2015年のアニメ業界で最も話題になったものというと『ラブライブ』に違いないと思う(まさかμ’sが紅白に出演するとは思いもよらなかった)。そのキャラクターの一人を演じる南條さんも、『ラブライブ』の人気によってさらに知名度が上がったとは思うが、それによって身動きが取りづらそうな感じもあって、少なくとも音楽活動においてはこうして自身のソロ名義でも、来年以降も自由に活躍して欲しいと切実に願う。
twitterをやっていなかったらきっと知らずにいただろうアルバム。
声優とアイドル、両方で活躍しているハイブリッドグループ i☆Risの1stは、今までにリリースしたシングルも収録した、まさに現段階においてのベストと呼べるような一枚。
声優として活動できる基礎もあるからか、全員の歌唱力がとても高くて、それだけでも数あるアイドルグループと一線を画す存在のように思える。今年アニメを見ていても、よく彼女たちの名前がエンドロールにあるのを見ていたし、来年は今以上に声優としてもアイドルとしても、より人気が高まっていくのだろうという気がする。
以下は、ここ最近好んで聴いているジャンルの作品について。
まずは、来年以降の活躍も大いに期待してしまう年齢の若いバンドから2作品。
死んだ僕の彼女や溶けない名前などを思い浮かべる、和の雰囲気を纏った淡いシューゲイズサウンド。曲はもちろんものすごく良いし、それに加えてアートワークもセンスの良さが光っていて、これからが非常に期待。
Whisper Voice Riot - Before The Morning Cleaves Our Night
つい最近リリースされたのをすぐに入手して、しばらくリピートして聴いていた。初期衝動をそのまま録音したかのような、激しさと瑞々しさのあるバーストシューゲイズ。
上述した『17歳とベルリンの壁』は和の雰囲気が強い一方で、こちらは洋楽志向。国内だけに留まらず、世界にも通用しそうな魅力がある。早くアルバムを聴いてみたい。
今年はこの2組のバンド以外にも、多くのかっこいい若い人たちによるバンドの活躍が目立っていた印象が強い。それはbandcampやsoundcloud、またはSNSをバンド自身がうまく活用しているということもあるだろうけど、それをサポートするレーベルやレコードショップ、ディストロなどの存在もきっと大きいように思う。
地方からも多くのかっこいいバンドがたくさん現れている印象も同様にあるので、この流れが来年以降も続くと面白いし、自分が住む地域でもこの流れでどんどん新しいバンドが出てきてほしいと思ったりしている。
以前から好きだったバンドの新譜から3作品。
Homecomings - HURTS
表題作『HURTS』が昨年の『I Want You Back』のようにライブで盛り上がること間違い無しであろう文句のつけようもない名曲で、 この一曲が収録されているだけでも満足してしまう一枚だが、注目したいのはその次の『I CAN'T TELL YOU WHAT I'M GOING TO DO』というパンクチューン。
Homocomingsに対するイメージは、可愛らしいギターポップバンド(同義ではあるが言葉のニュアンスからすればtwee popの方がより適切な気がする)というもので、それは曲はもちろんのことメンバーそれぞれの雰囲気も含めて、そうしたイメージを抱いてしまうのも自然なように思える。でもおそらく根本にあるのはそんな可愛らしいものばかりではなくて、きっと世間のイメージとのギャップのようなものがあったのではないのかな、と思う。そうしたイメージをぶっ壊す手始めの曲が、この『I CAN'T TELL YOU WHAT I'M GOING TO DO』なのかもしれないと感じた。だからこのシングルが、バンドが新たな方向へと舵を切った重要な一枚で、来年には聴けるであろう次のアルバムの重要な布石であるような気がしてしまう。
きっと今までとは異なる姿を見せてくれるであろうHomecomingsの活躍に、来年も期待しまくっている。
möscow çlub - Outfit Of The Day
1stで大きな衝撃を受けてから、随分と時間が空いてようやくリリースされた2nd。制作期間も長かったようで、丁寧に紡がれた楽曲ばかり。また多数のゲストも参加していることから、前作とは全くバンドの印象が異なっている点も興味深い一枚。それにしても本当に、形容しがたい不思議な魅力を持ったバンドであると、改めて感じた。
滅多にライブをしないバンドというイメージなので、来年にあるリリースパーティーは是非とも行きたいと考えている。
Pictured Resort - Now And On
Miles Apart Recordsからのカセットテープリリース以降、一気に人気に火がつき2015年大活躍していたPictured Resortのミニアルバム。以前にも書いたが、彼らの曲を聴くと時間の流れがゆっくりと流れていく感覚があって、聴いている間に心地良い癒しの体験を味わえる一枚。
今年何度か彼らのライブを見る機会があったが、演奏力の高さと安定感のあるパフォーマンスは、結成して間もないとは思えないほどの円熟味。国内でこういう類の音楽をやっているバンドは少ない印象なので、来年以降も目が離せない。
2015年の国内におけるバンドシーンにおいて、パンクロックの影響を強く感じるバンドが一際目立っていたように思う。その中から印象に残っている2作品。
SEVENTEEN AGAiN - 少数の脅威
今年の国内バンドシーンにおいて重要レーベルと言える、kilikilivillaからリリースされたアルバム。そのレーベルのコンピでこのバンドを初めて知って、その後過去のアルバムから順を追って辿り着いた今作。
日本語の熱い歌詞と、勢いが全く衰えずにどんどん加速していく曲。ちょうど自分が思春期の頃に巷に溢れまくっていた日本的なパンクバンドの雰囲気を多少感じさせつつも、その頃存在していたバンドよりも遥かに洗練された曲に自然と体が動く。また過去のアルバムから順を追って聴いて、バンドの変遷も一気に辿れたことにより、今のバンドの雰囲気がかなり良いように思えたし、そんな乗りに乗っている空気がアルバムを聴いていても感じられる一枚だった。
THE SLEEPING AIDES & RAZORBLADES - FAVORITE SYNTHETIC
今年初めて知ったバンドの中でも一番、そして一気に惚れ込んでしまったバンド。本当に、今まで知らなかったことを後悔しまくっているし、過去の廃盤になっている音源が欲しくて堪らない…。
BRIDGE SHIP HOUSEさんによるジャケットは、下半期のベストアートワーク。もちろんジャケットだけでなく、収録されている曲も素晴らしい。一曲目から最後の曲まで一気に聴けてしまうのはきっと、鳴らされている音楽がパンクではありながらも圧倒的にポップで、しっかりと耳に残るメロディーだからだと思う。癖になるボーカルはもちろん、個人的には刺さるような鋭いギターの音が非常に好みだった。本当に本当に最高!の一枚。
これから先の未来から2015年を振り返った時に、思い出したい3作品。
ラッキーオールドサン - ラッキーオールドサン
純度の高いポップなメロディー、淡々と歌われる男性ボーカル、舌足らずで幼さを感じさせる女性ボーカル、これらが混ざり合った絶妙のポップスばかりが収録された一枚。
最初に聴いた印象は、ジブリ映画の世界観のようなどこか懐かしさを感じる曲が多いというものだった。それはきっと、自然と風景が浮かんでくる歌詞と、歌い上げるというよりは朗読に近いような、2人の歌い方からそう感じたのかもしれない。
様々な場面においてこの音源を聴いても、決して日常の時間を邪魔するわけではなく日常の雰囲気を壊すわけではなくて、その時間と雰囲気を少しだけ煌びやかなものにするような、そばに寄り添ってくれるような、まさに「魔法」のかかった一枚。これからも大切に聴きたい。
Other Too Pure Songs - Twilight e.p.
国内のインディーポップシーンにおいて重要かつ、個人的には伝説ともいえるバンド『Pastel Blue』を知ったのは、その活動を終えるあたりであったように記憶している。ライブ等を全く見ることもできなかった。だから尚更そのバンドへの思い入れが強かったりして、この『Other Too Pure Songs』の始動により、再び『Pastel Blue』のメンバーが集結するということを知って興奮しまくったのが昨年の冬のこと。そして今年リリースされた待望の単独音源(7インチというのも最高!)は、情報が解禁されてからすぐに予約をした。
脈々と受け継がれているインディーポップのマナーに則った、インディーポップへの深い愛と敬意を感じさせる誠実な曲ばかり。この音源が発売されたことは2015年において一大事件で、こうした瞬間を目の当たりに出来たことが本当に嬉しい限り。来年以降も、マイペースな活動を楽しみにしている。
V.A. - TOURS EP
今年はMiles Apart Recordsからリリースされた作品たちに毎回ワクワクさせられた一年だった。このEPは、同レーベルが開催したライブイベントを記念して制作されたもの。収録曲はそれぞれが互いの曲をカバーした楽曲で構成されている。そのどれもが、原曲の良さを活かしつつも確実に自分たちの曲に仕上げていて完成度が高い。
ジャケットのアートワークが、イベントのフライヤーから続く物語を感じさせて本当に最高。
このイベントを見に行くことが出来たことも、2015年においてとても良い思い出の一つで、この音源を聴くたびに楽しかったあの時間や光景を思い出す。イベントの思い出も含めて、自身にとってこの音源は大事な一枚となった。
2015年は上半期・下半期それぞれ一曲ずつベストトラックと呼べるような、心に突き刺さった曲があったので、最後はそれについて。
東京スーパースターズ - シマネ
歌い出しから一気に心を掴む仲野さんの歌声と、それから続く哀愁のあるメロディーは、聴くといつも涙ぐんでしまう名曲。
ラッキーオールドサン - ミッドナイト・バス
この曲を聴きながら夜の道をドライブしたり、感傷的な気分に浸りながら夜道をあてもなく歩きたくなるような気持ちにさせられる。少し寂しさのある歌詞とキラキラとした楽曲は、いつ聴いてもじんわりと胸が熱くなる。
ということで2015年に聴いた音楽については以上。下半期は意識的に国内のものを多く選ぶ事にしたが、こうして並べてみても今年の自分の好みがかなり強く出ているように思う。
2014年に、聴いた音楽についてまとめたいと思って始めたこのブログも、早いもので気付けば一年が経った。来年以降も今まで同様に、聴いた音楽のことやそれ以外のことについて記録を残していきたいと思っている。とりあえず来年初めにでも、今回選んでいないが2015年に発売された音源で、記憶に残っているものや最近聴いたものあたりについて「2015 聴いたもの」のオマケのような何かを書こうと計画中。来年以降のこのブログは、今の感じだとかなり更新頻度が低くなりそうではあるが、一ヶ月のまとめは最低でも書きたい。
2015年を振り返ると、この一年は新譜ばかりを追いかけているような印象があった。来年は新譜はそこそこにして、旧譜や今まで手に入れていてじっくりと聴けていなかった作品を中心に音楽を聴いていこうと考えている。
また今年は今までに比べると、よくライブ会場に足を運んでいた印象がある。その傾向は来年以降もそのままで、できればさらに頻繁に、時間とお金をかけたいと思っている。そうした中で色々な方々とお会いできたというのも今年の思い出の一つで、来年以降もこうした経験を増やしていければと思う。
この一年は今までの人生の中でもかなり充実していたように思うし、来年も今年のように、できれば今年よりもさらに充実したものとなっていってほしい。
来年も素晴らしい音源やライブ等、多くの感動的な何かと出会えることを楽しみにしている。