2019
2018年のことを思い出しながら、書きそびれていた一年の空白を埋めたので、2019年のことを。
まずは音楽のこと。今年は今まで以上に音楽をしっかり聴く時間がなかった気がする。時折気になる音源が発売されるタイミングで一気に購入したり、とかはあったが、それも今まで好きな人たちの新譜であったりで、新しい音楽を探すというのは全然なかった一年だったような印象。なので、印象に残っているものというと、どうしても今までに挙げたことのある人たちの作品が多かった。
そうした中でも強く思い出されるものとして2つ。
元々小沢健二のことはそこまで惹かれている存在ではなくて、フリッパーズ・ギターもネオアコとかインディー・ポップに関心を持った時にようやく認識した、というような状態だったので、小沢健二の活動があまり活発ではなかった時期にちゃんと触れた存在だったから、尚更そこまで思い入れがないのだと思う。そんな自分でもこのアルバムは強烈な印象しかなかった。
宇宙というとてつもなく大きく想像もできない存在と、とてつもなく小さく現実を生きている自分という存在を比較した時に、ただ生きているのってそれだけでなんだか凄いことなのか、とか中学生の時に考えるようなことを今更考えたり。生きるって素晴らしいことだなんていくら歌われても、 いやいやそんなことないだろ、なんて今まではずっとそんな態度でいたのに、いざこうやって心が動かされるのだから、きっとやはりそうなのだろうな、とか、そんな幼稚かもしれないことをずっと考えてしまった。
個人的に『フクロウの声が聞こえる (魔法的オリジナル)』、『アルペジオ (きっと魔法のトンネルの先)』が好きで、初めてこのアルバムを聴いた時の自分の状況があまり良いものではなかったから、うっかり泣いたりしてしまって、そんな記憶もこのアルバムが印象に残っていることの理由の一つ。
小沢健二からの流れで、渋谷系の音楽に強く影響を受けた管さんが生み出したフォトハイの傑作もまたキラキラと眩しく、その煌めきに思わず涙ぐんでしまう瞬間が多々あった。『繋ぐ日の青』の歌詞に自分の思いをのせてしまって、再生してすぐに涙ぐむ、というのをかなり繰り返してしまっている。また、日本語詩へのこだわりが強いバンドだからこそ、英語詩の『Can Little Birds Remember?』がより映えたり、一曲一曲それぞれがものすごく良い上に、アルバムの流れとしても聴き応えのある一枚だった。
バンドの認知度もかなり上がっている印象を受けるし、実際それが活動に反映されていてもっと売れてくれ!なんて気持ちもあるけれど、フォトハイらしい雰囲気はずっと残ったまま活動を続けていってほしいな、なんて思ったり。
と、強く印象に残っているのがこの2作品。他にもよく聴いたものは、
美しいギターの音色と歌声に心を奪われる瞬間が何度もあった。特に『Doom In Full Bloom』のラスト、ずっとこのギターの音が続いてくれ…といつも思う。ちなみにではあるが、上に貼ったBig Scary Monstersのbandcampページからだと来年の1/2日までnypでダウンロードできるとのこと。
気怠さの心地よさ。聴いている時のどんな状況、どんな環境にもすっと馴染んで、耳から通り抜ける清涼感を求めて何度も聴いてしまう。
よく利用しているTHE STONE RECORDSさんでジャケットに惹かれて購入したもの。いわゆるインディー・ポップ的ではあるけれど、自分が好きなFuneral Advantageにも近いような感じがして、そういう雰囲気が自分はきっと好きなんだろうな、とあらためて。
シンプルな音数だからこそ川辺さんの歌声がすっと入り込んでくるような。手に入れた時は心地よすぎてずっと聴いていた記憶がある。最近一般販売したカセットも結局買ってしまった。
Ropesの限定アナログは、個人的に夜の時間に合う気がして、夜更ししている時によく聴いた。THROAT RECORDSを初めて利用して、同時にLOSTAGEの『In Dreams』も購入したのでそちらも同時期によく聴いていた。
結成17年目にしてようやくの1stとのことで、ずっと好きなバンドだったから待ち望んでいた一枚。装丁のこだわりも強く、是非とも手に取ってほしいと色んな人に勧めたくなる作品。公式の説明文を借りると「歌なしインディロックバンド」という、そのアイデンティティを強く感じられる一枚だった。メンバーの脱退もあったりしたようだけれど、これからもゆっくりと、長く活動を続けていって欲しいと心から思う。
ルーツであるV系の要素や、インダストリアルの要素もあって、一曲一曲も強烈なんだけれど、アルバム全体の統一感がちゃんとあって良く聴いていた一枚。特に『Everything』が好きで、その楽曲では小林氏の父性/母性のようなものを感じながらも、一方で曲によっては暴力的な印象を受けるボーカルにも魅了された。また、限定で販売されていたワンマンツアーのライブ盤もこのアルバムと同様によく聴いていて、こちらは特に『Misstopia』〜『Hallelujah』の流れが好みすぎて、一時期過去の作品も改めて聴き返したりしていた。
今年はツイッターでフォローしている方々の活動も活発だった印象で、
まだ聴けていないものあるけれど、この5作品はきっとこれからも繰り返して聴くと思う。
あとは最近他の方の年間ベストを見て気になったWhitneyや、Deerhunter、NIGHT FLOWERS、Cigarettes After Sex、DIIVの新譜なども買ったり、急にGrouperの過去作を集めたい!と思い立って一気に買ったり、サブスクリプション解禁きっかけで、手持ちの音源からスピッツやPeople in the boxの過去作をずっと聴いたり、なんてことをしたりしたことも。
ということで、2019年の印象的な音楽はこんな感じだった。ここ最近は多くの人がサブスクリプションで音楽を聴く印象が強いけれど、自分の場合はspotifyを時々使うという感じで、自分の生活とはあまり相性が良くないのかもしれないなーとは思う。もちろん試聴感覚で使う分には便利なことは分かるけれど、とりあえずしばらくはそれをメインにして音楽を楽しむということはなさそう。
今年は結構気持ちが沈むことも多くて、暗い気持ちを引きずりかけたりもしたけれど、そんなたくさんのタイミングで音楽に救われるような瞬間も多くて、その都度なんとか持ち直しながら2019年の終わりまで来られた。来年もまたたくさん救ってもらおうと思う。
いつも通り漫画とアニメについても簡単に。
漫画の方は、集めている作品や好きな漫画家さんの新刊が出ているのを見かけるととりあえず購入するようにしていて、でも結局読む時間が全然なくてかなりの数が積んだままになっているが、今年一番印象に残っているのは、
会話のテンポの良さというか、セリフ選びがきっと巧みなのだと思うけれど、キャラも魅力的でストーリーも気になることだらけで、かなり引き込まれてしまった作品。重たい話になりそうなのに、それとは真逆の軽やかな感じもあるのは、要所要所に挟まれる笑える要素があるからなんだろうなーとか。漫画なんだけど実写ぽいというか、『子供はわかってあげない』に続いてこちらも実写化されたら見てみたいなーとか思ったりもする。
アニメの方は、こちらも時間がなくて全然見ていない時期もあったりしたけれど、かぐや様、彼方のアストラ、約ネバ、鬼滅、キャロチュー、ケムリクサ、ブギーポップ、ビースターズが印象的。原作が人気のものが大半だけれど、しっかりと作り込まれている芸術作品としてのアニメ、みたいなものがきっと好きだった一年なのかなと。時間の都合もあるから来年以降は見る本数はだいぶ減らしていこうかと考え中。
ということで、2019年はこんな感じだった。今年はものすごく良いこともあれば、ものすごく悪いこともあって、感情の浮き沈みがとても激しく、精神的には今まで生きてきた中でも一番きつい一年だったように思う。来年以降もそれを引きずって生きていくことになりそうだが、音楽を中心に自分の好きなものが自分の状況を変えてくれることに改めて気付かされた一年でもあった。
今年よく考えていたことは、生きることと死ぬことについてで、そうしたことを考えざるをえない出来事が個人的にも、またニュース等を見ていても災害や事件等、目を覆いたくなるようなことが定期的にあって、自分についてももちろん、他人についても、生と死という生物として存在するからには避けられない悩みにずっと縛られていた一年だった。だからこそ、生きることを讃える作品や目が眩んでしまうほどの煌めきといった、完全に未来を見据えた姿勢を感じるものに惹かれてしまったのかもしれないなーというのは少し前から実感していること。
時間も少しできたことで思い立って一気に2018年と2019年について振り返ってみたけれど、やっぱりこの作業は後から見返した時に得られることも多いし、実際久々に自分の過去書いたものを読み返すとそれなりに楽しかったりするので、来年も継続できれば、と思う。とりあえずしばらくは、溜め込んだまだ聴けていない音楽や、読めていない積んだままの漫画や、録画はしたけれど見ていないアニメやテレビ番組等、自分の好きなもので自分の気持ちを満たす行為を続けたいと思う。